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大阪市立波除小学校島崎貴代 島崎貴代先生 大阪教育大学大学院修士課程修了。大阪教育大学附属平野小学校の勤務を経て，現在大阪市の公立小学校指導教諭。大阪青山大学非常勤講師。著作物『小学英語活動コピー資料集』（教育図書出版会）『小学校の先生がつくった！ 朝学プリント 英語 小学５・６年生』（清風堂書店）他。現在can-do評価の研究を継続。 外国語評価に関する一考察 　いよいよ外国語科がスタートします。教科書も手元に届きますし，数値での評価も始まります。不安を感じておられる先生方も多いのではないでしょうか。評価については，国立教育政策研究所から出ている『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料』に載っていますように，外国語科特有の5領域（聞くこと，読むこと，話すこと［やり取り］，話すこと［発表］，書くこと）について，3観点（知識・技能，思考・判断・表現，主体的に学習に取り組む態度）別にそれぞれ評価規準を設定して，評価することになっています。 　ここでは，『NEW HORIZON Elementary 5』Unit 1“Hello, friends. ”を使った一単元の評価の提案をします。 　まずは，一単元の授業の組み立てを考えます。Unit 1は「出会う」「慣れる」「楽しむ」「広げる」の4つのパートに分かれています。この単元は8時間配当ですので，それぞれを2時間ずつ割り当てるのが適当でしょう。次に，各時間での評価をする活動を決めます。『指導と評価は表裏一体』と言われているように，その活動は，その時間のめあてに関わっているものになります。 　では，具体的にどのような場面で評価をするのが良いか，考えていきましょう。 　第1時は，これから使っていく英語表現に「出会う」時間です。評価の対象の活動はStarting Outです。子どもたちは，学校生活に関連したNo.1からNo.5までの音声を聞き，AからEの□に聞えた順に番号を記入します。評価は，いろいろなシーンで使う重要な表現の概要を捉えようとしている様子です。これは，5領域の「聞くこと」，3観点では「主体的に学習に取り組む態度」に当てはまります。 　第2時も引き続き「出会う」時間です。この時間での評価の対象の活動はLet’s Watch and Thinkです。子どもたちは，2人の外国の子どもの音声や映像を視聴し，分かったことを日本語で教科書に書き込みます。評価は，映像を見て，分かったことを日本語で書いている様子です。ここでも，5領域の「聞くこと」，3観点では「主体的に学習に取り組む態度」に当てはまります。 　第3時は，出会った英語表現に「慣れる」時間です。この時間での評価の対象の活動はLet’s Try ② です。子どもたちは先生の好きな色，スポーツ，食べ物を聞き取った後，友だちとこの3つのことについて質問したり，聞き取ったりと，やり取りをします。評価は，友だちとやり取りをするための語句について理解し，伝え合っている様子です。これは，5領域の「話す［やり取り］」，3観点では「知識・技能」と「思考・判断・表現」に当てはまります。 　第4時も出会った英語表現に「慣れる」時間です。この時間での評価の対象の活動はLet’s Try ③です。子どもたちは，自分の似顔絵を描き，自分の名前を4線上に書きます。その後，I like ～. の表現を使い，友だちと自分の好きなものについてやり取りをします。評価は，やり取りに関連する語句を理解し，伝え合っている様子です。これも，5領域の「話す［やり取り］」，3観点では「知識・技能」と「思考・判断・表現」に当てはまります。 　第5時は，コミュニケーションを「楽しむ」時間です。この時間での評価の対象の活動はStep 2です。子どもたちは，名刺カードに好きなものの絵を描き，ペアで尋ね合います。評価は，名前のつづりを尋ね合ったり，自分の好きなものを言い合ったりするなど，伝え合っている様子です。5領域の「話す［やり取り］」，3観点では「思考・判断・表現」と「主体的に学習に取り組む態度」に当てはまります。 　第6時もコミュニケーションを「楽しむ」時間です。この時間での評価の対象の活動はStep 3です。子どもたちは，新しい名刺を作り，第5時同様，名前や好きなものについてやり取りをします。前時では，ペアでやり取りをしましたが，この時間は，クラス中に広がって，たくさんの人とやり取りをします。評価は，前時同様，名前のつづりを尋ね合ったり，自分の好きなものを言い合ったりするなど，伝え合っている様子です。5領域の「話す［やり取り］」，3観点では「思考・判断・表現」と「主体的に学習に取り組む態度」に当てはまります。 　第7時，第8時は，世界を「広げる」時間です。ここでは，5領域3観点に対応する評価は当てはめませんが，日本の文化，世界の文化に気付くことができる時間です。文化への気付きは英語を学習するうえで，大切な素地となります。 　以上のように，1単元を学習する中で，その単元の特徴で5領域3観点の評価ができると思います。5年生，6年生とも年間8unitあるので，1年間で，5領域3観点のすべての項目が評価できるようにしましょう。 　最後に一言。子どもたちと共に，楽しんで外国語科を学習してください。 「内容のまとまり（五つの領域）ごとの評価基準（例）」 知識・技能 思考・判断・表現 主体的に学習に取り組む態度 聞くこと ［知識］ 英語の特徴や決まりに関する事項を理解している。 ［技能］ 実際のコミュニケーションにおいて，自分のことや身近で簡単な事柄についての簡単な語句や基本的な表現，日常生活に関する身近で簡単な事柄についての具体的な情報を聞き取ったり, 日常生活に関する身近で簡単な事柄についての短い話の概要を捉えたりする技能を身に付けている。 コミュニケーションを行う目的や場面，状況などに応じて，自分のことや身近で簡単な事柄についての簡単な語句や基本的な表現，日常生活に関する身近で簡単な事柄についての具体的な情報を聞き取ったり，日常生活に関する身近で簡単な事柄についての短い話の概要を捉えたりしている。 外国語の背景にある文化に対する理解を深め，他者に配慮しながら，主体的に英語で話されることを聞こうとしている。 読むこと ［知識］ 英語の特徴や決まりに関する事項を理解している。 ［技能］ 実際のコミュニケーションにおいて，活字体で書かれた文字を識別し，その読み方(名称)を発音する技能を身に付けている。音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を読んで意味が分かるために必要な技能を身に付けている。 コミュニケーションを行う目的や場面，状況などに応じて，活字体で書かれた文字を識別し，その読み方（名称）を発音したり，音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を読んで意味が分かっている。 外国語の背景にある文化に対する理解を深め，他者に配慮しながら，主体的に英語で書かれたことを読んで意味を分かろうとしている。 話すこと﹇やり取り﹈ ［知識］ 英語の特徴や決まりに関する事項を理解している。 ［技能］ 実際のコミュニケーションにおいて，指示，依頼をしたり，それらに応じたりする技能を身に付けている。日常生活に関する身近で簡単な事柄についての自分の考えや気持ちなどを伝え合ったり，自分や相手のこと及び身の回りの物に関する事柄について，その場で質問をしたり質問に答えたりして，伝え合ったりする技能を身に付けている。 コミュニケーションを行う目的や場面，状況などに応じて，指示，依頼をしたり，それらに応じたりしている。日常生活に関する身近で簡単な事柄についての自分の考えや気持ちなどを伝え合ったり，自分や相手のこと及び身の回りの物に関する事柄などについて，その場で質問をしたり質問に答えたりして，伝え合ったりしている。 外国語の背景にある文化に対する理解を深め，他者に配慮しながら，主体的に英語を用いて伝え合おうとしている。 話すこと﹇発表﹈ ［知識］ 英語の特徴や決まりに関する事項を理解している。 ［技能］ 実際のコミュニケーションにおいて，日常生活に関する身近で簡単な事柄や自分のことについて話す技能を身に付けている。身近で簡単な事柄についての自分の考えや気持ちなどを話す技能を身に付けている。 コミュニケーションを行う目的や場面，状況などに応じて，日常生活に関する身近で簡単な事柄や自分のことについて話している。身近で簡単な事柄についての自分の考えや気持ちなどを話している。 外国語の背景にある文化に対する理解を深め，他者に配慮しながら，主体的に英語を用いて話そうとしている。 書くこと ［知識］ 英語の特徴や決まりに関する事項を理解している。 ［技能］ 実際のコミュニケーションにおいて，大文字，小文字を活字体で書いたり，音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を書き写したりする技能を身に付けている。自分のことや身近で簡単な事柄について，音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を用いて書いたりする技能を身に付けている。 コミュニケーションを行う目的や場面，状況などに応じて，大文字，小文字を活字体で書いたり，音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を書き写したりしている。自分のことや身近で簡単な事柄について，音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を用いて書いたりしている。 外国語の背景にある文化に対する理解を深め，他者に配慮しながら，主体的に英語を用いて書き写したり書いたりしようとしている。 国立教育政策研究所教育課程研究センター：「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料　小学校　外国語・外国語活動